通信制高校を選ぶ際に気になるものの一つに「スクーリングの多さ」があります。
スクーリングとは、通信制高校に通うことを指す言葉で、早い話が「通学」のことです。
いじめなどを経験して通学を負担に感じる人や、アルバイトや芸能活動など学業以外にやりたいことがある人にとっては、スクーリングの頻度は通信制高校を選ぶ一つの基準ではないでしょうか。
このページでは、通信制高校のスクーリングについてお伝えしていきますので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
スクーリングなしの通信制高校はある?
結論から言うと、一度もスクーリングをすることなく卒業できる通信制高校はありません。
しかし、数える程度だけの通学で卒業できるところはありますので、通学回数を少なくしたい人は、そういった通信制高校(コース)を選ぶようにすると良いでしょう。
少ないところでは、年1回の合宿タイプのスクーリングで卒業できるというところもあります(普通は年間20~25日程度)。こういった通信制高校では、レポート課題やWEBを利用した授業を通して学習を進めていくのが基本になります。
数少ないスクーリングの日は、必要な授業と体験学習などをいっぺんに行うのが一般的ですね。詳しくは後述します。
- ルネサンス高等学校
- N高等高校
通信制高校を自力で探すのは大変なので、資料一括請求などを上手に活用してみてください。
なぜスクーリングが必要なのか?
「できれば通学せずに卒業したい……」と思う人もいるかもしれません。しかし、卒業するためにはスクーリングが不可欠です。
というのは、通信制高校の卒業要件の一つである「単位の取得」を行うためにはスクーリングをする必要があるからです。
学習指導要領には、添削指導(=レポートなど)の回数と面接指導(=スクーリング)の単位時間数の標準が以下の通り定められています。
教科・科目 | レポート指導など(回) | スクーリング(単位時間) |
国語,地理歴史,公民及び数学に属する科目 | 3 | 1 |
理科に属する科目 | 3 | 4 |
保健体育に属する科目のうち「体育」 | 1 | 5 |
保健体育に属する科目のうち「保健」 | 3 | 1 |
芸術及び外国語に属する科目 | 3 | 4 |
家庭及び情報に属する科目並びに専門教科・科目 | 各教科・科目の必要に応じて2~3 | 各教科・科目の必要に応じて2~8 |
参考・データ引用:高等学校学習指導要領解説 総則編
また、別の卒業要件である「特別活動(※)」も、スクーリングで同時に行うことがあります。卒業するための要件を達成するために、スクーリングが必要になってくるということですね。
※特別活動……学科授業ではない行事などのこと(例:ホームルームや体育祭など)
スクーリングでは何を行う?
スクーリングで行うことは、選んだ学校やコースによって変わってきます。しかし、基本的な国語や英語などの授業はどんなコースを選んでも基本的に行われるでしょう。
ここからは、スクーリングの頻度ごとに詳しく説明していきます。
週5日の場合
スクーリングが週5日の場合、全日制高校のような時間割で授業を行っていることが多いです。
「ということは、週5回なら全日制高校と変わらないのでは?」と思うかもしれませんが、実際は授業を受ける時間が基本的に午前中だけであるなど、全日制高校よりも通いやすいスケジュールになっていることもあるので、各学校・コースの時間割を詳しくチェックしてみてください。
例として、わせがく高等学校の週5日(全日型)の時間割例を紹介します。
※画像引用元:わせがく高等学校公式サイト
月数日~週1回の場合
通信制高校のスクーリングの頻度としては主流となっているものです。日々レポート課題などを行いつつ、定期的に通学も行うスタイルです。
スクーリング回数を減らした分、レポート課題などの比重が増えます。
例えば、N高等学校の週1日スタイルの時間割例は下記のようになっています。
※N高等学校には「プロジェクトN」という独自のカリキュラムがあります。詳しくはN高等学校の公式サイトでご確認ください。
年数回の場合
年数回のスクーリングで済む場合、合宿のような形式で必要な学科授業や活動をまとめて行っていることがほとんどです。
東京の通信制高校ではありませんが、ルネサンス豊田高等高校のスクーリング紹介動画がありますので、一度どんな雰囲気なのか見てみると良いでしょう。
この学校では年に一回、3泊4日の日程でスクーリングを行っています。もちろん学校ごとに雰囲気は違いますが、ここの授業は堅すぎない楽しめるものになっている様子が伝わります。進路相談なども一緒に行っていますね。
体育もバドミントンなどの軽い運動を行っているので、こういうところであれば運動が苦手な人も安心ですね。
メディアを活用したスクーリングについて
ラジオ・テレビ放送などのメディアを活用して学習を行った場合、スクーリングの回数(時間)を減らすことができます。
メディアごとに該当科目の60%までスクーリングを減らすことが可能で、複数メディアを活用すれば最大で科目の時間数の80%まで免除することができます。
参考:高等学校学習指導要領解説 総則編
そのため、スクーリングを減らしたい場合は、インターネットを活用した授業などを行っている通信制高校(コース)を選ぶようにすると良いでしょう。
こうした授業を行っている通信制高校の例としては、N高等学校が挙げられます。ネットコースを選択すれば、日々の授業もレポート提出もすべてネットで完結させることができます。スクーリングは合宿タイプでまとめて行っていますね。
他にもこういうところはあるので、資料請求をしつつ探してみましょう。
少ないスクーリングで学習を進めるには自己管理が大事
スクーリングが少ない通信制高校は、通学の負担が少ないので嬉しいと感じる生徒も少なくないと思います。
しかし、通学して授業を受けることが少ない(あるいはほとんどない)分、自分で学習の進み具合を管理していかなければいけないということは意識しておいた方が良いでしょう。
ついついレポート課題を後回しにしてしまい、必要な単位が取得できずに卒業が遅れてしまうようなことがあっては本末転倒です。
スクーリングがあれば、学校に行きさえすれば授業を受けることで半ば強制的に学習を進めることができます。自分の力で勉強を進めていくのが難しいと感じる生徒には、こちらの方が合っていることもあるのです。
スクーリングの回数だけで単純に判断するのではなく、「学習をしっかり進められるか」という視点を持つことが大切なのです。
まとめ
学習指導要領で定められている単位取得のために必要なスクーリングは、通信制高校から卒業するために不可欠なものです。
全日制高校のように毎日通うことも、合宿のような形で年1回で済ませることも可能なので、どちらが良いかしっかり考えて選ぶと良いでしょう。
「自分ひとりだと学習をしっかり進めていけるか不安」という人はスクーリングの多いコースを、「他にやるべきことがあって時間が必要」という人はスクーリングの少ないコースを選ぶのがおすすめです。
合宿タイプの場合、行き先も学校によって大きく違うので、資料などでしっかり確認しておくと良いですね。